「うちの子、何度練習しても跳び箱が跳べない……」「体育の授業が近づいてきて、不安そうにしている」そんな様子を見て、どう教えたらいいのか悩んだことはありませんか?跳び箱は、助走のリズムや踏み切り、手のつき方、腕で体を押し出す感覚など、一つひとつの動きを順番に身につけることで、多くの子どもは少しずつ上達していきます。一方で、「もっと頑張って!」 「怖くないよ!」 と励ますだけでは、かえって不安が大きくなってしまうこともあります。大切なのは、跳べない原因を知り、その子に合った練習を段階的に進めることです。【この記事を読むとわかること】・子どもが跳び箱を跳べない3つの理由・助走から着地まで、跳び箱が上達する5つのコツ・自宅でもできる段階別3ステップ練習メニュー・保護者が知っておきたい教え方と安全なサポート方法・きそスポで実際に跳び箱を克服したお子さんのレッスン事例跳び箱は、正しい順番で練習を積み重ねれば、「できない」が「できた!」に変わる可能性があります。お子さんが自信を持って体育の授業に参加できるよう、一緒に上達のポイントを見ていきましょう。理学療法士による「無料のマンツーマンレッスン」1. 跳び箱のコツをつかむ前に知っておきたい「跳べない3つの理由」「何度練習しても跳べない」「本人はやる気があるのに、なぜかうまくいかない」そんな経験はありませんか? 実は、跳び箱が苦手な子どもには、多くの場合は、共通している3つの理由があります。コツを教える前に、まずはお子さんがどのタイプに当てはまるかを確認してみましょう。理由①:助走から踏み切りまでのリズムが合っていない跳び箱では、高くジャンプすることよりも、助走の勢いを前へ運びながら踏み切ることが大切です。しかし、タイミングが合わないと踏み切り板を片足で踏んでしまったり、踏み切る位置が毎回変わったりして、十分な勢いを跳び箱へ伝えられません。このリズムは、頭では「ここで踏む」とわかっていても、体がついてこないと身につきにくいため、反復練習が欠かせません理由②:手をつく位置が分かっていない「手をつく位置なんて、なんとなくわかるのでは?」 と思ったことはありませんか? 実は、これが意外と教わる機会が少ないポイントです。手を奥につきすぎると体が前に進まず、近すぎると腕が曲がって勢いが止まりやすくなります。基本は「跳び箱の手前側に肩幅程度で手をつく」。この位置を体で覚えることが、スムーズに跳ぶための土台になります。理由③:失敗体験が重なって恐怖心になっている何度も失敗すると、体に無意識にブレーキをかけるため、助走が遅くなったり、踏み切りを弱めたりしてしまいます。これは根性や勇気の問題ではなく、脳が「危険」と判断して体を守ろうとしている自然な反応です。怖さを取り除くには、無理に「高い跳び箱に挑戦する」のではなく、小さな成功体験を積み重ねることが何より効果的です。2. 跳び箱は「一連の動き」が大切!助走から着地までの5つのコツ跳び箱は、「助走」「踏み切り」「手をつく」「押し出す」「着地」という5つの動きがスムーズにつながることで、初めて跳び越えられます。実際に跳び箱の習得過程を分析した研究でも、助走・踏み切り・支持・押し出しといった動きが連続して行われることが、跳び箱の成功につながる重要な要素と報告されています※¹。それぞれのコツを順番に見ていきましょう。【START】助走:速さよりも一定のリズムを意識する「速く走れば高く跳べる」と思っていませんか? 実は助走はスピードよりリズムが大切です。助走が速すぎると踏み切り板へ合わせられず、遅すぎると勢いが足りなくなります。小走りで一定のリズムを刻みながら踏み切り板へ向かう感覚を体に染み込ませましょう。【踏み切り】両足でしっかりと板を踏んで、体を前へ運ぶ踏み切りは、両足を揃えてしっかりと踏み切るのがポイントです。片足で踏んでしまうと体が安定せず、勢いも伝わりにくくなります。大切なのは、高く跳ぶことよりも、助走の勢いを前上方へつなげることです。【手をつく】肩幅・手前側・指先は前向きが基本手をつく位置って、意外と教わらないですよね?肩幅程度に開き、跳び箱の手前側に指先を前向きでつくのが正解です。奥につきすぎると体が止まりやすく、近すぎると腕が曲がって力を伝えにくくなります。指先を前へ向け、腕でしっかり体を支えましょう。【押し出す】手で体重を支えながら腕で体を前へ押し出す手をついたら、腕をぐっと伸ばして体を前へ送り出すイメージです。「手で体を運ぶ」という感覚をご存知ですか? 腕で跳び箱を押すことで、お尻や腰が浮き、体が前へ進みやすくなります。ここをつかめると、ふわっと体が前に出る感覚が生まれます。【GOAL】着地:両足同時・膝を柔らかく使って安定させる着地は両足同時に、膝を軽く曲げてやわらかく降りるのが基本です。衝撃を吸収し、安定して着地できると、子ども自身が「最後まで跳べた!」 と感じやすくなります。成功体験が次の挑戦への自信につながります。ここまでで跳び箱の基本的なコツをお伝えしました。しかし、「コツは分かっているのに跳べない!」 という子も少なくありません。次は、自宅でもできる練習方法を紹介します。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは3. 「何から練習させればいい?」跳び箱が上達する! 自宅でもできる段階別3ステップ練習メニュー「コツはわかったけど、何から練習させればいいの?」 と迷った経験はありませんか? 跳び箱は、いきなり本番を繰り返すよりも、必要な動きを一つずつ練習した方が効率よく上達することがあります。近年の研究でも、小学生の跳び箱では熟達度に応じて指導することが重要であり、子どもの動きに合わせて段階的に練習内容を組み立てることが提案されています※²。家でもできる練習ばかりなので、ぜひ試してみてください。【STEP1】障害物ジャンプで助走と踏み切りのリズムを身につける跳び箱の最初のポイントは、助走の勢いを止めずに両足で踏み切ることです。まずは、枕やクッション、丸めたタオルなど、ぶつかっても安全な障害物を用意しましょう。少し助走をつけて、「タ・タ・タ・タ・タン・両足ジャンプ!」というリズムで跳び越える練習を繰り返します。この練習では、助走から踏み切りまでのリズム両足でしっかり踏み切る感覚を同時に身につけることができます。高さは必要ありません。リズムよく跳び越えられることを目標にしましょう。 ( 助走をしてきて、タオルの手前で両足ジャンプ )【STEP2】カエル遊びで「手で支える・押し出す」感覚を覚える踏み切りができるようになったら、次は腕の使い方を練習します。まずおすすめなのが、「カエル跳び」や「カエル足打ち」です。両手でしっかり床を支えることで、跳び箱で必要になる「腕で体重を支える感覚」が身につきます。さらに、「ウシガエル」の動きを取り入れると、手で床を押して体を前へ運ぶ感覚も自然に覚えられます。跳び箱では、手をつくだけでは体は前へ進みません。腕で押し出す力が加わることで、お尻や足が浮きやすくなり、スムーズに跳び越えられるようになります。床で十分に感覚を身につけてから跳び箱へ挑戦すると、成功しやすくなります。 ( ウシガエルの動き:手で床を押して体を前へ運ぶ感覚の練習 )【STEP3】親が馬になれば高い段への恐怖心がやわらぐ動きが身についても、高さへの不安から思い切って跳べない子も少なくありません。そんなときにおすすめなのが、親子で楽しめる馬跳びです。スポーツ心理学や指導法の研究でも、「体操競技はいろいろな遊びを通して、飛び越えるや体をコントロールする感覚を身に付けるほうが、恐怖心に影響されずに技を習得しやすい」ということが分かっています※³。保護者が四つ這いになれば低い高さ、高這い(膝をつかずに手足を伸ばした姿勢)になれば少し高い高さになります。お子さんの様子に合わせて少しずつ高さを調整できるため、無理なく成功体験を積み重ねられます。また、跳び箱よりも柔らかく安心感があるため、「跳べた!」 という自信につながりやすいのも大きなメリットです。※ただし、保護者がしっかり姿勢を安定させ、周囲に十分なスペースを確保するなど、安全に配慮して行いましょう。 ( 馬跳びでの実践練習 ) この3つのステップを順番に取り組むことで、助走と踏み切りのリズムを覚える手で体を支え、押し出す感覚を身につける高さへの恐怖心を減らし、自信をつけるという、跳び箱に必要な力を無理なく育てることができます。「跳び箱が苦手だから」と何度も本番だけを繰り返すよりも、一つひとつの動きを分けて練習した方が、子どもは驚くほど上達しやすくなります。▼こちらの記事もあわせてオススメ子どもの「立ち幅跳び」が上手になるコツ。新体力テストは運動音痴でも大丈夫?子どもの感覚統合トレーニングには「遊び」が重要。楽しんで学べるレッスン例を解説小学生からのコーディネーショントレーニング。効果的なメニューで子どもの運動能力を向上させる方法4. 保護者必見! 子どもが安心して跳べる教え方3つのポイント跳び箱の練習で、つい「怖くないよ!」 「大丈夫だって!」 と声をかけてしまったことはありませんか? もちろん励ます気持ちは大切ですが、声のかけ方や補助の仕方によっては、子どもが余計に緊張してしまうこともあります。ここでは、子どもが安心して挑戦できる教え方のポイントを紹介します。声かけは「激励」より「動きを伝える」「怖くないよ」という言葉って、大人は励ましのつもりですよね? でも子どもにとっては、「怖いと思っている自分はおかしいの?」 「怖がってはいけないんだ」と感じてしまうことがあります。代わりに効果的なのは、動作を具体的に伝える言葉です。例えば、「手は跳び箱の手前についてみよう」「踏み切り板は両足で踏んでみよう」「腕で押したら体が前に進いたね!」 このように動作を具体的に伝えることで、子どもの意識は恐怖ではなく「やること」に向きやすくなります。また、「跳べたね!」 だけでなく、「踏み切りが上手だったね」「手のつき方がよかったね」など、過程をほめることは自信につながります。補助は「持ち上げる」のではなく「支える」補助の位置は、跳び箱の横、やや前方が基本です。子どもが跳んだ瞬間に、腰や脇へ軽く手を添えられる位置に立ちましょう。反対に、正面に立つ無理に持ち上げるこれらはバランスを崩しやすく、かえって危険です。補助は跳ばせるためではなく、「もしものときに支えられる安心感」を与えるものです。子ども自身の力で跳べるよう、必要最低限のサポートを心がけましょう。失敗しても高さを下げれば大丈夫子どもが何度も失敗すると、「もう一回!」 「頑張れ!」 と言いたくなりますよね。しかし、同じ高さで失敗を繰り返すと、成功体験より失敗体験が積み重なり、思い切って踏み切れなくなってしまうことがあります。そんなときは、無理に続けるのではなく、四つ這い馬跳びに戻るカエル跳びをするなど、一度成功できる練習へ戻してみましょう。「できた!」という経験を積み重ねることが、自信につながり、結果として上達への近道になります。5. よくある質問(FAQ)ここまで読んで、「うちの子の場合はどうなんだろう?」 と疑問が残る方もいるかもしれません。ここでは、保護者の方からよくいただく質問にお答えします。Q. 跳び箱は何段から練習すればいい?最初は3段、または4段の低い段からスタートするのがおすすめです。ただ、最初は、お子さんが恐怖を感じにくく、無理なく挑戦できる低い段数から始めるのがおすすめです。理由は、身長110cmの子と140cmの子では、同じ4段でも難易度が違うからです。学校では3〜4段程度から練習することが多いですが、高さにこだわる必要はありません。実際、文部科学省の学習指導要領においても、小学校では、子どもの発達段階に合わせて高さを調整しながら学習を進めることが示されています※⁴。Q. 授業までに間に合わせるには?「体育の授業まで時間がない!」 という焦りを感じていませんか? 限られた時間で効果を出すなら、STEP1の障害物ジャンプで踏み切りのリズムを体に覚えさせることを最優先にしましょう。助走から両足で踏み切るリズムが安定するだけでも、跳び箱全体の動きは大きく変わります。さらに、カエル跳びやウシガエルを組み合わせることで、手で体を支え、押し出す感覚も身につきやすくなります。毎日5〜10分程度でも、短時間でも継続することが大切で、体育の授業までに自信をつけられる可能性があります。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは6. きそスポでの実例、跳び箱が苦手だった小学2年生が少しずつ自信をつけた話「うちの子も、本当に跳べるようになるのかな……」そんな不安を抱えている保護者の方へ、きそスポで実際にあったレッスンの一例をご紹介します。Aちゃんは、小学2年生の女の子です。跳び箱が苦手で、新しい動きを覚えることにも時間がかかりやすいお子さんでした。最初のレッスンでは、お母さんの四つ這いでの馬跳びにも怖さを感じ、一歩踏み出すことができませんでした。そこで、いきなり跳び箱を跳ぶ練習はせず、まずは障害物ジャンプで助走と踏み切りのリズムづくりからスタートしました。「タ・タ・タ・タ・タン・両足ジャンプ!」というリズムに合わせて、助走から両足で踏み切る感覚を繰り返し練習しました。その後は、カエル足打ちで腕で体を支える力を育て、さらにウシガエルで体を前へ押し出す動きを少しずつ身につけていきました。一つひとつの動きができるようになってから、再び馬跳びに挑戦すると、4回目のレッスンではお母さんの背中に跳び乗ることができるようになりました。そして、このお子さんの場合は、6回目のレッスンでお母さんの馬飛びを跳び越えることができました。最初からひたすら馬飛びだけを繰り返していたら、恐怖心ばかりが強くなっていたかもしれません。しかし、リズムを身につける手で支える体を押し出す少しずつ高さに慣れるという順番で練習したことで、「できた!」という成功体験を積み重ねることができました。子どもの上達するスピードは一人ひとり違います。だからこそ、その子に合った段階で練習を進めることが、跳び箱を好きになる一番の近道だと、私たちは考えています。レッスン後、お母さんからは「まさか跳べるようになるとは思っていませんでした。家でも笑顔で練習するようになりました。」という嬉しいお声をいただきました。7. 「教え方、これで合っているのかな…」そんな時はオンライン無料体験で一緒に確認しましょう「家で練習しているけれど、本当にこの教え方で合っているのかな?」「体育の授業までに少しでも自信をつけさせてあげたい」「うちの子に合った練習方法を知りたい」そんな方に向けて、きそスポではオンラインの無料体験をご用意しています。まずはお子さんの動きを一緒に見るところから始めてみませんか。きそスポでは、お子さんの動きを遊びの中で丁寧に観察しますきそスポは、理学療法士が運営する子どもの運動教室です。跳び箱は助走・踏み切り・手のつき方・押し出しなど、いくつもの動きが連動する種目のため、お子さんによって苦手なポイントは異なります。きそスポでは、遊びや運動を通して「どこでつまずいているのか」「体のどの部分が使いにくいか」「怖さが動きを妨げていないか」を丁寧に確認し、一人ひとりの発達段階や性格、体の使い方に合わせた練習方法をご提案しています。無料体験でわかることお子さんの跳び箱の課題や、つまずいているポイントお子さんに合った練習方法や、ご家庭で取り組めるメニュー今日から実践できる遊びを通じた練習法保護者の方の疑問や不安へのアドバイス「家では何を意識すればいいの?」その疑問が解消されるだけでも、ご家庭での関わり方は大きく変わります。体験の流れ・よくある質問【体験の流れ】お申し込みフォームからご予約ご都合のよい日時を選択、体験会で実施したい内容の打ち合わせオンラインでレッスン、お子さんの動きを確認理学療法士がお子さんに合った練習方法をご提案所要時間は約60分。動きやすい服装と2畳ほどのスペースをご用意ください。Q. 跳び箱が怖くて近づけない子でも参加できますか?もちろんです。「跳ぶ前の段階で止まってしまう」というお子さんのご参加が多く、無理なく楽しめる内容から始めています。Q. 跳び箱以外の相談もできますか?はい。でんぐり返しや走り方、縄跳び、鉄棒など、運動全般についてご相談いただけます。「できた!」につながる第一歩を、一緒に見つけましょう6章でご紹介したAちゃんも、最初はお母さんの四つ這い馬跳びさえ怖がっていました。しかし、障害物ジャンプでリズムを身につけ、カエル遊びで手で支える感覚を育て、少しずつ高さに慣れていくことで、6回目のレッスンで跳び箱を跳び越えられるようになりました。もちろん、上達するスピードには個人差があります。だからこそ大切なのは、お子さんに合った順番で練習を進めることです。「何をすればいいのか」が分かるだけでも、ご家庭での練習は進めやすくなり、「できた!」という成功体験につながりやすくなります。一人で悩み続けなくて大丈夫です。まずはお子さんの動きを一緒に見ながら、お子さんに合った練習方法を見つけてみませんか。\オンライン無料体験のお申し込みはこちら/オンライン運動指導教室「きそスポ」とは参考文献・引用文献久本佳己,他:器械運動の学習指導に関する基礎的研究―腕立て開脚跳び越し(跳び箱運動)の習得過程の分析―.日本教科教育学会誌.1986:25-32.論文を見る佐野孝,他:小学生の跳び箱運動かかえ込み跳び動作の熟達度評価と指導観点の検討.発育発達研究.2020;89:1-11.論文を見るAriza-Vargas L, et al. The Effect of Anxiety on the Ability to Learn Gymnastic Skills: A Study Based on the Schema Theory. The Sport Psychologist. 2011. 論文をみる出典:文部科学省【体育編】小学校学習指導要領(平成29年告示)解説.資料をむ