最近、子どもたちの姿勢が崩れているように感じる。首だけじゃなく、背中全体が丸くなって、画面に吸い込まれるみたいに前傾になっている。気になって「おーい。姿勢!」 と声をかけると、びくっとして一瞬だけ背筋が伸びる。でも5秒後にはもう元に戻っている。このループをもう何百回繰り返しただろう。子どもの猫背は「だらしない」のではなく、「集中している」サインかもしれないここで少し、視点を変えてみたい。「猫背=やる気がない」とは限らないかもしれない。画面に引き寄せられるように前傾になるのは、むしろ集中や没入している証拠という見方もできる。断言できるほどの研究はまだ少ないが、きそスポのトレーニングの現場でそう感じる場面は少なくない。つまり、あの前傾姿勢は、子どもが真剣に画面と向き合っているサインでもある。もちろん、それが長時間続くと話は別だ。研究によれば、長時間のスクリーン使用は前頭頭部姿勢(スマホ首)や頸部の不快感、脊椎への負荷増大と関連することが報告されている※¹。視力の低下、体幹の弱化も同様だ。ただ「猫背=悪いこと」と単純に決めつけると、集中している子どもを頭ごなしに叱ることになってしまう。スマホやタブレットも、使い方次第で味方になるスマホやタブレットの使用そのものが悪者というわけでもない。調べる、創る、表現する。使い方によっては子どもの学びの道具として大きな可能性を持っている。つまり問題は「タブレットの存在」ではなく「時間のコントロール」なのだ。長時間同じ姿勢で使い続けることで、体幹の筋肉が使われない状態が続き、姿勢を保つ力が育ちにくくなる。だからこそきそスポでは、「タブレットはダメ」ではなく「時間を守る練習」として子どもと一緒に向き合うことを大切にしている。時間を守る。気持ちを切り替える。それ自体が、子どもにとって大切な力になる。姿勢は「直す」ことに加え「リセットする」という発想「体幹を鍛えれば姿勢が改善する」という話には、異論もある。姿勢に影響する要因は体幹だけではなく、骨格の特性、生活習慣、ストレス、睡眠など多岐にわたる。体幹トレーニングが万能というわけではないし、効果には個人差もある。ただひとつ言えるのは、「姿勢は固定されたものではない」ということだ。体幹トレーニングや基礎的な運動が姿勢を変えるという根拠2025年に発表されたScientific Reportsの研究では、学校の体育授業に機能的トレーニングを取り入れたグループは、通常の体育授業を受けたグループと比べて、前頭頭部姿勢や肩の左右差といった姿勢の問題が有意に改善したことが報告されている※²。体幹や神経筋肉を刺激する機能的な運動プログラムを取り入れ、体を動かす時間をつくることが、姿勢の改善に直結するという話の根拠のひとつだ。また、仰向けに寝るだけでも、長時間の前傾姿勢で縮んだ体は重力から解放され、自然な状態に戻ろうとする。そこに体幹トレーニングが加わると、姿勢を支える筋肉が少しずつ育ち、同じ時間タブレットを使っても崩れにくい体になっていく。運動時間を着実に確保できれば、トレーニングの効果が上回ってくる可能性が高い。「直す」だけではなく「リセットしながら育てる」。そういう感覚で体と付き合っていくイメージだ。運動教室「きそスポ」は子どもの成長を親御さんと伴走しますきそスポでは、子どもたちの「猫背」とされる姿勢や、スマホやタブレットの使用を、必ずしも「悪いもの」として捉えていない。大切にしているのは、子どもの体に今、何が起きているかを丁寧に見ること。親御さんからいただく日々の気づきと、論文からの知見、経験に基づいた分析力の3つを大切にしながら、一人ひとりの状態に向き合っている。「姿勢が気になる」「スマホやタブレットの使い方どうしたらいいの」「うちの子、なんか疲れやすいみたい」。そんな小さな声も、ぜひ気軽に話しかけてほしい。怒る回数が減ると、親子の空気が変わる「姿勢!」と声をかけるのは、どこか子どもを杓子定規な姿に押し込めてしまっていうような感覚があって、親としてもどこかしんどさがあった。だが、体の仕組みを知って、動く時間をつくりはじめると、そのしんどさが少し和らいでいく。怒る回数が減る。子どもが自分から体を動かすようになる。スマホやタブレットに没頭する時間が終わったあと、気持ちを切り替えられるようになってくる。子どもの姿勢の改善は、そういう小さな変化の積み重ねの先にある。一緒に、その積み重ねをつくっていけたらと思っている。【参考文献】※1 Straker LM, et al. A comparison of posture and muscle activity during tablet computer, desktop computer and paper use by young children. Ergonomics. 2008.論文を見る※2 Zhu F, et al. The effect of school-based functional training for physical fitness and postural health among children: a school-based cluster intervention trial. Scientific Reports. 2025.論文を見る