「○○くんは逆上がりができるけど、俺はできない……」学校であったことを教えてくれたとき、お子さんが悔しそうに話す姿を見て、「できるようになってほしいな」と思ったことはありませんか?「練習が足りないだけなのかな?」「うちの子は運動が苦手なのかな……」「公園で練習しているけれど、なかなか上手くならない……」そんなふうに、何が原因なのか分からないまま、親子で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。実は、逆上がりは単に「腕の力が強ければできる」という運動ではありません。足を蹴り出すタイミング、体を鉄棒に近づける動き、腕や体幹の使い方など、いくつかの動きを組み合わせる必要があります。そのため、ただ回数を増やして練習するのではなく、「なぜ今できないのか」を見つけ、お子さんの段階に合った練習をすることが大切です。この記事では、理学療法士の視点から、逆上がりができない原因を整理しながら、ご家庭や公園で取り組める具体的な練習方法を紹介します。【この記事を読むとわかること】逆上がりの身体の使い方のポイントとできない主な原因「できない子」に見られやすい動きのクセと、その改善方法おうちの中でできる、逆上がりの土台をつくる簡単な運動公園の鉄棒で実践できる、段階を踏んだ練習ステップ保護者の方が気をつけたい、避けたい練習や声かけ実際にきそスポで、逆上がりに取り組んだ子どもの事例ひたすら反復練習をする、「できない」を責めるのではなく、「どうすれば今より少しできるようになるか」を一緒に見つけていきましょう。この記事が、お子さんの「できた!」につながるきっかけになれば嬉しく思います。理学療法士による「無料のマンツーマンレッスン」レッスンとは1. 逆上がりができるようになるために知っておきたい「身体の使い方」逆上がりの練習をしているとき、「もっと頑張れ!」 「気合いが足りない!」そんな声かけをしたことはありませんか? 親としては「反復練習が大切、頑張ればできるはず」と思ってしまいますよね。でも、何度練習してもできないお子さんにとっては、「もっと頑張る」だけでは解決しないことがあります。逆上がりは、単純に腕の力が強ければできる運動ではありません。腕で体を鉄棒に近づける、脚を適切な方向へ振り上げる、体を丸めながら回転するなど、いくつかの身体の動きをタイミングよく組み合わせる必要があります※¹'²。そのため、まずは「どこで動きが止まっているのか」を見てあげることが大切です。ここでは、理学療法士の視点から、逆上がりを行うときに特に意識したい3つのポイントの特徴を整理してみましょう。逆上がりで意識したい3つの身体の使い方① 脚を振り上げる方向とタイミングを合わせる逆上がりでは、脚を高く上げるだけでは十分ではありません。地面を蹴って脚を振り上げ、その動きを体の回転につなげていく必要があります。例えば、脚だけが上に向かってしまうと、体が鉄棒に近づかないまま、脚だけが高く上がって地面に戻ってしまうことがあります。そのため、「どれくらい高く蹴るか」だけでなく、「どの方向へ蹴るか」にも注目してみましょう。② 腕を使って体を鉄棒に近づける逆上がりでは、鉄棒を握った腕を使って、体を鉄棒に近づけていくことが重要です。腕が伸びたまま体が鉄棒から離れてしまうと、脚を振り上げても回転につながりにくくなります。「腕の力が強いか」だけを見るのではなく、「鉄棒を引きつけながら、脚を振り上げて、体を鉄棒に近づけられているか」 を確認してみましょう。③ 体を丸めながら回転する感覚を身につける逆上がりでは、頭が下になり、体が後方へ回転する動きが必要になります。この感覚に慣れていないお子さんの場合、「頭が下になるのが怖い」 「落ちそうで怖い」という気持ちから、体が硬くなったり、途中で動きを止めたりすることがあります。これは「怖がりだからダメ」ということではありません。回転することへの不安がある場合には、いきなり逆上がりを繰り返すのではなく、まずは安全な環境で「体が回る感覚」に慣れていくことも大切です。逆上がりも上手にできる! オンライン運動指導教室「きそスポ」とは2. 逆上がりが「できない」ときに見られやすい4つの動ききそスポでお子さんの運動を見ていると、逆上がりがうまくいかないときには、いくつかの共通した特徴が見られることがあります。もちろん、すべてのお子さんに当てはまるわけではありません。「うちの子はどこで止まっているのかな?」という視点で、チェックしてみてください。□ 脚を振り上げても体がついてこられずに落下する 脚を上げることはできても、その動きが体の回転につながっていない可能性があります。□ 腕が伸びたままになっている 鉄棒から体が離れ、体を鉄棒に近づける動きがうまくできていない可能性があります。□ 回転の途中で体が伸びてしまう 体を丸めた姿勢を保てず、回転の勢いが小さくなっている可能性があります。□ 怖さから途中で動きを止めてしまう 回転への不安から、目を閉じたり、体を硬くしたり、脚を下ろしたりすることがあります。また、身体の動きだけでなく、「失敗するのが恥ずかしい…」 「また失敗するかもしれないから、もうやりたくない!」 という気持ちが、練習そのものへの抵抗につながっていることもあります。ここは、保護者の方にはぜひ知っておいてほしいところです。「できないから、もっと練習させよう」と考えるだけではなく、「今のお子さんが、どこまでなら成功できるのか」を見つけてあげることも、上達への大切な一歩になります。次の章では、逆上がりができない子に見られやすい動きのクセの改善方法や「身体の使い方」を身につけるために、ご自宅でできる練習方法から、公園の鉄棒で行う段階的な練習まで、具体的な方法を紹介します。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは3. 【自宅・室内でできる】逆上がりの土台を作る練習法「鉄棒がある公園まで行く時間がない」 「まずは家でできることから始めたい」「外は暑すぎて、なかなか鉄棒の練習ができない……」そんな方も多いのではないでしょうか。実は、逆上がりの練習は、毎回鉄棒を使わなければいけないわけではありません。逆上がりでは、脚を振り上げる動き、腕で体を支えたり引きつけたりする動き、体が回転する感覚など、いくつかの身体の動きを組み合わせます。そのため、鉄棒での練習と並行して、それぞれの動きの「土台」となる運動を遊びの中で経験しておくことも一つの方法です。ここでは、第1章で紹介した「脚を振り上げる方向」「腕で体を支える・引きつける動き」「回転する感覚」に焦点を当てて、ご家庭でできる運動の一例を紹介します。※これらは逆上がりを想定した室内練習ではありますが、最終的には4章で記載しているような逆上がりそのものの直接練習が必要です。お子さんの状態に合わせて、逆上がりに必要な動きの土台づくりとして取り入れてみてください。① 脚を振り上げる動きにつながる遊び逆上がりでは、脚を高く上げるだけでなく、脚を振り上げる動きと体の動きを合わせることが必要です。まずは、脚を高く上げ、自分の体に近づけたり、脚をコントロールする遊びから始めてみましょう。足でタオルを蹴り上げてキャッチしてみよう立った姿勢で片方の足の甲にタオルを乗せ、足でタオルを蹴り上げてみましょう。蹴り上げたタオルは、両手でキャッチ! ポイントは、「高く蹴ること」だけを目標にしないことです。「自分の足をコントロールして、狙った方向へ動かせるかな?」 という遊びとして取り組んでみましょう。② 腕で体を支える・引きつける動きにつながる遊び逆上がりでは、鉄棒を握った腕を使って体を支えながら、体を鉄棒に近づけていく動きが必要になります。そのため、鉄棒を使わない日には、腕で自分の体を支える遊びを取り入れてみましょう。腕立て伏せで「親の手タッチ」腕立て伏せの姿勢をつくり、親が手を前に出します。お子さんは腕立て伏せのように額を動かして、親の手にタッチ。難しい場合は、膝を床につけても構いません。「腕立て伏せができるようになること」が目的ではなく、自分の体の重みを腕で支えながら、体勢をコントロールする経験として取り入れてみましょう。③ 回転する感覚を育てる遊び逆上がりでは、頭が下になり、体が後方へ回転する感覚に慣れていることも大切です。まずは、安全な場所で「転がる」「丸くなる」といった簡単な動きから始めてみましょう。布団の上で「くるりんぱ」布団やマットの上で膝を抱え、体を丸くします。お腹と太ももの間にタオルを入れ、子どもはタオルをもちます。両親はその状態でタオルを持ち上げます。最初はゆっくり持ち上げてみましょう。自然と身体が回転していきます。慣れてきたら、足の蹴り上げ・タオルの引き付け・回転と連続性を持った練習をしてみてください。目まいがでる場合は、無理をしない回転すると気分が悪くなる、目まいがするなどの場合は、無理に続けないでください。回転運動に慣れることが目的なので、「できるところまで」で十分です。次の章では、いよいよ公園の鉄棒を使って、逆上がりにつなげていく段階的な練習ステップを紹介します。▼こちらの記事も身体の使い方を学ぶ上であわせてオススメ【動画あり】【後転のコツ】小学生で後転が苦手な子どもへの上手な教え方と練習法でんぐり返しは何歳から? やり方・コツ・できない原因を解説【年齢別の目安つき】台上前転が「できない」「跳び箱が怖い」を克服するポイント。自宅練習のコツと体の使い方4. 【公園の鉄棒でできる】逆上がり直前ステップの練習法3章でご紹介した体の土台ができてきたら、いよいよ実際の鉄棒で練習していきましょう。ただし、いきなり「回ってごらん」と何度も挑戦させるのは、あまりおすすめできません。逆上がりは、脚を振り上げる、体を鉄棒に近づける、体を丸めて回転するなど、いくつかの動きを組み合わせて行います。そのため、最初からすべてを自分の力で行うのではなく、補助を使って「回れた」という感覚をつかみ、そこから少しずつ補助を減らしていく方法があります。ここでは、きそスポでも活用している「タオル」を使った段階的な練習方法をご紹介します。ステップ①:タオルを使って「逆上がり」大きめのバスタオルを用意します。タオルを細長く折り、腰からお尻の上あたりに通して、タオルの両端を腕の間から前に出します。その両端を鉄棒と一緒に握って、逆上がりを行います。最初は、タオルと鉄棒の距離を短くして、しっかりと補助が効く状態から始めます。この段階では、「足の蹴り上げが鉄棒より高くあがり、鉄棒におへそを近づけると、体が自然と回っていく」という感覚をつかむことが目的です。親御さんは、お子さんの動きを見ながら必要なところをサポートし、まずは「最後まで回れた」という成功経験を作ってあげましょう。ここでは、何回できたかよりも、「逆上がりって、こうやって回るんだ!」という感覚を経験することを大切にしてください。ステップ②:タオルを少しずつ緩めるステップ①で回転する感覚に慣れてきたら、次はタオルによる補助を少しずつ減らします。タオルと鉄棒の距離を少し長くしたり、タオルの張りを緩めたりすることで、お子さん自身の力で行う割合を増やしていきます。この方法の良いところは、タオルの長さを変えるだけで、その場で補助量を調整できることです。例えば、「今はちょっと楽すぎるかな?」と思ったら少し補助を減らす。「まだ難しそうだな」と思ったら、もう少し補助を増やす。というように、その日の子どもの状態に合わせて、細かく難易度を調整できます。自分の力だけでは回りきれない場合は、無理に補助を減らす必要はありません。「少し補助を減らしても回れた」というところを見つけながら、少しずつ自力で回る割合を増やしていきましょう。ステップ③:補助を減らしながら、自力での練習へタオルを使った状態で、少ない補助でも回れるようになってきたら、タオルを外して、自力での逆上がりに挑戦してみます。このときも、「補助あり→補助を減らす→補助なし」という段階を意識しましょう。いきなり補助をゼロにして何度も失敗するよりも、少し頑張れば成功できる難易度をつくることがポイントです。また、補助なしで難しい場合は、ステップ②に戻っても構いません。「戻る=失敗」ではありません。一度できた動きを、もう一度補助を使って回転する感覚の確認をすることも、次の成功につながります。この際、お子様には、「まだ出来ないからタオル使うよ!」 ではなく、 「惜しい! もう少し感覚を掴む練習をしよう!」 と前向きな声掛けをしてあげてください。タオルを使うときの注意点タオルは身近な道具で、補助量を調整しやすい一方、使用方法には十分注意してください。特に、タオルが強く引っ張られることで、破れたり、外れたりする可能性があります。使用前には、タオルに破れやほつれがないか確認する薄くなっているタオルや傷んだタオルは使用しない大人が油断せずに補助の量を調整するお子さんが無理な姿勢になっていないか確認するといった点に注意してください。「タオルなら何でも大丈夫」ではありません。少しでも不安がある場合は、タオルを使った補助は行わず、逆上がりの補助ベルトを使うなど、安全な方法を確認してください。オンライン運動指導教室「きそスポ」とは5. やってはいけないNG練習・声かけここまで、逆上がりを習得するための練習法をお伝えしてきました。でも実は、一緒に行う保護者の方の声掛けが逆上がりの習得には、一番といっていいほど、とても大切です。「良かれと思って」やっている練習や声かけが、お子さんにとっては負担になってしまうことがあります。特に逆上がりは、身体の動きだけでなく、「怖い」「失敗したくない」という気持ちも関係する運動です。ここでは、保護者の方がついやってしまいがちなNG練習・NG声かけについて、一緒に考えてみましょう。「怖がっている子」に無理に回転させる第1章でもお伝えしたように、逆上がりでは、頭が下になり体が回転することへの不安が、動きを硬くしたり、途中で動きを止めたりすることがあります。そのため、お子さんが強く怖がっている状態で、「怖くないから大丈夫!」 と無理に回転をさせようとするのは避けたい練習の一つです。その場では「回れた」という結果が得られるかもしれません。しかし、お子さん自身は「無理やりに回された」という経験になってしまうと、次に鉄棒へ向かうことへの抵抗感につながる可能性があります。補助を使う場合も、お子さん自身の動きを残しながら、必要なところだけをサポートすることを意識しましょう。子供のやる気を奪う声掛け練習に付き合う保護者の方も、何度も失敗する姿を見ていると、つい焦ってしまうことがありますよね。「せっかく時間を作って練習しているのに……」 「もっと頑張ってよ……」そんな気持ちになるのも、決しておかしいことではありません。でも、そんなときこそ、かける言葉を少し変えてみましょう。NG① 「なんでできないの?」「さっきも言ったでしょ」お子さん自身も、「なぜできないのか」が分からず困っていることがあります。そこに原因を問い詰めるような言葉が加わると、「できない自分が悪い」と感じてしまう可能性があります。安易な声掛けや叱責はプレッシャーを高めるだけで、体の動きが余計に固まってしまいます※³。具体的な声掛けは、学習に繋がりやすい報告※⁴もありますので、下記の方法を参考にしてください。代わりに、「どこが難しかった?」 と聞いてみましょう。「足が上がらない」「怖い」「腕が痛い」「途中で止まっちゃう」など、お子さん自身が感じていることが分かれば、次の練習を考えるヒントにもなります。NG② 「○○ちゃんはできるのに」「お友達はできているのに……」と、周りの子と比べたくなる気持ちも分かります。でも、逆上がりができるようになる時期や、得意な動きは一人ひとり違います※⁵。また、親が子どもを「他の子」と比較する行動を受けた子どもは、自分で周囲と自分を比べるようになり、「自分は劣っている」という感覚を強めていくことが分かっています※⁶。比較する相手を「友達」ではなく、「昨日のお子さん」に変えてみてください。「昨日より足が高く上がったね」「前より鉄棒に近づけたね」「今日は怖がらずに挑戦できたね」こうした声かけなら、結果だけではなく、取り組んだ過程にも目を向けることができます。次の章では、逆上がりについて保護者の方からよく寄せられる疑問を、Q&A形式でまとめます。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは6. Q&A 逆上がりの練習でよくある質問ここまでの内容を踏まえて、保護者の方からよくいただく質問にもお答えします。Q1. 何回くらい練習すれば、逆上がりの感覚がつかめますか?A. 「〇回やればできる」という明確な基準はありません。逆上がりができるようになるまでの練習回数や期間には、お子さんによって大きな差があります。経験的には、1ヶ月で出来るようになるお子様もいれば、3か月程度の時間を要したお子様もいます。ただ、大切なのは、着実に昨日よりも上手になっていくと、達成ができるということです。単純に練習回数を増やすことだけが重要ではありません。例えば、「10回失敗する練習」よりも、「少し補助があれば成功できる練習」「成功の感覚を掴む練習」を繰り返すほうが、お子さんによっては取り組みやすいこともあります。「何回やるか」だけではなく、「今のお子さんにとって、少し頑張れば成功できる練習になっているか?」という視点を持ってみてください。Q2. 逆上がり補助板は使わないほうがいいですか?A. 補助板を使うこと自体が悪いわけではありません。「補助板を使うと、自分の力がつかないのでは?」 と心配される保護者の方もいるかもしれません。しかし、補助板も、逆上がりの動きを経験するための一つの道具として活用できます。まだ自分の力だけでは回りきれないお子さんにとって、「最後まで回れた!」 という成功経験を作りやすいことが、補助板を使うメリットの一つです。一方で、補助板を使ってできないこととしては、補助の量を調整することが難しいです。補助板を使って安定して回転することが出来るようになった時は、補助板でなく、4章で記載したバスタオルや補助ベルトの活用を推奨します。Q3. 家の中で出来る鉄棒を買った方がいいですか?A. 「家で練習する=鉄棒を買う」ではありませんきそスポのレッスンでも、「家でも練習できるように、鉄棒を買いました!」 と、保護者の方が熱心に準備してくださることがあります。もちろん、ご家庭に鉄棒があれば練習の機会は増えます。一方で、家に鉄棒がないと逆上がりの練習ができないわけではありません。今回紹介したような運動を、遊びの中に少し取り入れてみるだけでも構いません。大切なのは、毎日長時間トレーニングをする・できない動きを何度も繰り返すのではなく、「今できる動きから少しずつ経験を増やす」ことです。そして、家庭で取り組んだことを、近くの公園の実際の鉄棒で試してみましょう。「家で土台をつくる→公園で実際の動きにつなげる」と考えると分かりやすくなります。▼こちらの記事もあわせてオススメ子どもの「立ち幅跳び」が上手になるコツ。新体力テストは運動音痴でも大丈夫?子どもの感覚統合トレーニングには「遊び」が重要。楽しんで学べるレッスン例を解説小学生からのコーディネーショントレーニング。効果的なメニューで子どもの運動能力を向上させる方法7. 逆上がりの出来なかった小学5年生が、2ヶ月で達成! 親と一緒に笑顔になった理由【きそスポ事例紹介】以前、きそスポで担当した小学5年生のお子さんの中にも、鉄棒で脚を振り上げた後に体が浮ききらず、逆上がりの回転につながらないケースがありました。お子さん自身もできないことを自覚しており、何度も挑戦することを嫌がる様子が見られていました。そこで、鉄棒だけを繰り返し練習させるのではなく、ご家庭では3章でご紹介したようなタオルを使った運動に取り組みながら、公園では1〜2週間に1回のペースで実際の鉄棒での動きを確認する、という進め方にしました。しばらくすると、脚が鉄棒より高く上がるようになり、「惜しい!」と感じられる場面が増えてきました。ただ、振り上げた脚の勢いが回転にうまくつながらず、あと一歩のところで着地してしまう状態がしばらく続いていました。そこで、4章でご紹介したバスタオルを使った補助練習を、実際の鉄棒で行いました。はじめはタオルと鉄棒の距離を近くした状態からスタートし、上手に回転できていたため、タオルと鉄棒の距離を少しずつ広げながら、「頑張れば届く」くらいの補助量に調整していきました。回数を重ねる中で、脚の振り上げと腕の引きつけの連動性が出てきて、取り組み始めてから2ヶ月が経った頃、逆上がりを達成することができました。できた瞬間、お子さん自身が思わずガッツポーズをしていた姿が印象的で、その場にいた私たちも、見守っていたご家族も、一緒に喜びを分かち合うことができました。この事例で大切だったのは、「できないから、もっと回数を増やす」ことではなく、「今、どの動きが難しいのか」「お子様の気持ちはどういった状態か」を見つけ、その部分にあった練習を選んだことです。もちろん、上達のペースやきっかけはお子さんによってさまざまです。前章のQ&Aでお伝えした通り、1ヶ月で習得するお子さんもいれば、3ヶ月ほどかかるお子さんもいます。ですが、我々は原因に合わせたアプローチを選ぶことで、変化が生まれるケースを多く経験しています。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは8. きそスポの無料体験で、お子さんの「できた!」 を一緒に見つけませんか?ここまで長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。逆上がりに必要な「脚で蹴り上げる力」「腕で体を引きつける力」「回転する感覚をつかむ力」「回転への恐怖心をコントロールする力」は、鉄棒の授業だけで使うものではありません。 マット運動の前転や後転、側転、跳び箱、うんていなど、学校生活のさまざまな場面で使われている力です。そして、その育ち方や苦手な部分は、お子さん一人ひとり異なります。だからこそ、「うちの子にはどの力が育っている途中なのか」を知ることが、お子さんに合った関わり方を見つける第一歩になります。とはいえ、「記事を読んだけれど、うちの子が同じように当てはまるのかまでは分からない」そう感じられた方も多いのではないでしょうか。それは、とても自然なことです。私たちも、実際にお子さんが身体を動かす様子を見せていただくことで、初めて分かることがたくさんあります。「うちの子も当てはまる?」 という段階のご相談でも大丈夫です「失敗を嫌がって鉄棒に近づかないけど、慣れれば変わるのかな?」「運動全般が苦手なだけなのか、それとも体の使い方に何か理由があるのかな?」「相談するほどではない気もするけれど、少し気になる……」そのような段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。無料体験は、「できる・できない」を判定する場ではありません。お子さんの身体の使い方や運動の様子を一緒に確認しながら、「どんなところが得意で、どんな経験を積むとよさそうか」を一緒に考える時間です。無料体験でわかることきそスポの無料体験は、3歳からご参加いただけます。特別な道具や運動経験は必要ありません。理学療法士がお子さんの身体の使い方を確認しながら、例えば次のようなことをお伝えしています。お子さんが得意としている身体の使い方や、伸ばしていきたい力回転感覚やバランス、体を支える力など、運動の特徴逆上がりに限らず、日常生活や運動で困りごとが起きている背景として考えられることご家庭でも取り入れやすい遊びや声かけの一例お申し込み後には簡単なアンケートにご回答いただき、お子さんの様子や保護者の方のお悩みを事前に伺っています。その内容をもとに、一人ひとりに合わせたレッスンを組み立てています。また、「評価して終わり」ではなく、実際に身体を動かしながら、お子さん自身が「できた!」 を感じられる時間を大切にしています。初めてのお子さんは緊張することも多いため、まずは遊びを通して「楽しい!」 と思える雰囲気づくりから始めています。まずはお気軽にご相談ください一人で悩み続ける必要はありません。「ちょっと相談してみようかな」 その気持ちだけで十分です。お子さんの様子やご家庭のお悩みに合わせて、次の方法からお気軽にご相談ください。無料体験オンラインレッスン(60分・実際のレッスンを体験)15分無料オンライン相談(保護者の方向け・まずは話を聞きたい)LINEで気軽に相談(友だち追加後、いつでもご相談いただけます)\オンライン無料体験のお申し込みはこちら/オンライン運動指導教室「きそスポ」を無料で体験!引用・参考文献※1 伊藤智式. 鉄棒の逆上がり習得に貢献するスキルとパワー―スモールステップを用いたスキルトレーニングの効果―.愛知学泉大学紀要,2021;4(1):137-146.論文を見る※2 三木伸吾. 逆上がりの習得に関する発生運動学的研究:鉄棒を苦手とする児童の習得事例.スポーツ健康学会誌,2016;(5):9-14.論文を見る※3 Ganesh G, et al. Activity in the dorsal ACC causes deterioration of sequential motor performance due to anxiety. Nature Communications. 2019;10:4287. 論文を見る※4 Wadsworth DD, et al. "The Effect of Physical Education Climates on Elementary Students’ Physical Activity Behaviors." J Sch Health. 2013;83(5):306–313. 論文を見る※5 田中光・他. 逆上がりマネジメント―逆上がり成就率の発達モデルの提唱―」日本生産管理学会論文誌.2017;24(1):87-92.論文を見る※6 Liu H, et al. Parents’ social comparisons and adolescent self-esteem: the mediating effect of upward social comparison and the moderating influence of optimism. Frontiers in Psychology. 2025.論文をみる