転んでも顔も手首も守れる子に。転びやすい子どもに知って欲しい、転び方のヒミツ先日、このようなブログ記事を書きました。→「ウチの子ども、転びやすい?」には理由があった。子どもの運動神経が気になる親は知っておきたい「外遊び」の重要性裸足で地面の感覚を感じながら歩く。足の裏でしっかり地面をつかむ感覚が育つことで、転びにくい体になっていく。そのような内容でした。書きながらずっと頭の片隅にあったことがあります。「転ばないこと」も大事です。でも、「転び方」も同じくらい大事じゃないかな、って。「ウチの子ども、転びやすいかも」と感じている親御さんも多いのではないでしょうか。実は「転びやすい」と「転び方が下手」は、違う問題なんです。今日はそのあたりを、できるだけわかりやすくお伝えできればと思います。転んだとき、「顔をケガする子」「骨折する子」は、何が違うんだろう?「ちゃんと足元見ないと」「そこ段差あるんだよ!」 子どもがよく転ぶと「足元を見ていない」「不注意」と言われることがあります。でも私が現場で感じるのは、注意力ももちろんあるが、「体の使い方に差があるなぁ」ということ。仕事柄、たくさんのお子さんの動きを見てきました。そのなかで、ふと気づいたことがあります。転んだとき、両手がすっと前に出てすり傷ひとつで済む子。転んだとき、顔からドンと地面に当たってしまう子。「すり傷ですんだ」「顔をケガした」同じように転んでいるのに、結果がぜんぜん違います。怪我はしないのが一番いいのですが、特に顔のけがって、隠せないから辛いですよね。傷が残らないか心配になりますし…。親御さんからすると、本当に心配ですよね。「また転んだ…」とヒヤヒヤする気持ち、よくわかります。そして最近、もうひとつ気になっていることがあります。子どもの手首の骨折が増えているという話を、よく耳にするようになりました※¹。転んだときに手を出す動き自体はできているのに、出し方のタイミングや角度がうまくいかないと、手首に体重が集中してしまうんですね。すり傷なら数日で治りますが、骨折となるとギプス生活が続きます。お子さんにとっても親御さんにとっても、これはなかなかつらいです。あるお子さんは、アスファルトの上で転んでも手のひらに少し赤みが出る程度。でも別のお子さんは、顔をぶつけてしまう。あるいは手首を骨折してしまう。この差って、いったいどこから来るんでしょう?「転び方の練習」というと、柔道の受け身みたいなイメージを持たれるかもしれません。でも実は、今回するお話は、もっとずっと手前の話、独自の経験や理学療法士ならではの視点から説明をします。「保護伸展反応」と「姿勢制御の戦略」って何?少しだけ専門的な話をしますね。人間の体には、バランスを崩したときに自分を守ろうとする反応が自然と備わっています。そのひとつが「保護伸展反応」。転びそうになったとき、無意識に手を前に出して体を守ろうとする動きのことです。赤ちゃんが成長する過程で自然に育つはずの反応です。座位が安定してくる生後6〜7ヶ月ごろから少しずつ出現し始め、歩行が完成する頃には前後左右どの方向にも反応できるようになっていきます。ただ、この反応がうまく働かないと、転んだときに手が出ずに顔や頭を直接ぶつけてしまうことがあります。さらに、反応は出ていても手首の使い方が未熟だと骨折につながることもあるんです。「手が出た=安全」ではないのが、転びやすい子どもの転び方の難しいところです。手をついたとき、体重をうまく分散できるか。そこまで含めて、はじめて「上手な転び方」と言えるんですね。もうひとつ大切なのが「ステッピング反応」。体が傾いたとき、とっさに足を踏み出してバランスを立て直そうとする動きです。「転ぶ前に一歩出る」あの動作ですね。これがすばやく働く子は、そもそも転倒まで至らないことも多いです。そして、これらの反応を束ねているのが「姿勢制御の戦略(バランスを保つ反応)」と呼ばれる体の仕組みです。ここで、ひとつ大切なことをお伝えします! 最近の研究では、転び方の動作そのものを練習することで、体を守る反応が育つことがわかってきています※²! 小学生を対象とした研究では、転び方の練習プログラムを受けた子どもの85%以上が、安全に転ぶための正しい動作を習得できたという報告もあります。「転び方は育てられない」わけではなく、経験や練習によって育てることができるんです。私の経験的にも、身体の小さな内から日常のいろんな動きや遊びの積み重ねのなかで、少しずつ育っていくことが大切だなと感じています。だから、特別なトレーニングや日々のちょっとした「経験」がとても大切なんです。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とはおうちでできる小さなヒント。じゃあ、何をすればいいの?ということで、今日からおうちでできる2つの遊びをご紹介します。難しい道具は何もいりません。親子で楽しみながらできますよ。① 膝立ち手押し相撲保護伸展反応は、体が急に傾いたとき、無意識に手が前に出て体を守る動きのことです。この反応は、体が傾く経験を繰り返すことで育っていきます。つまり、「倒れそうになる→手をつく」を体で覚えていくんですね。そこでおすすめなのが、膝立ちで向かい合って行う手押し相撲です。やり方はシンプル。床に膝をついた状態で向かい合い、手のひらを合わせて押し合うだけ。バランスを崩して前に倒れそうになったとき、自然と手が地面に出るようになります。この「倒れる→手をつく」の繰り返しが、保護伸展反応の練習になるんです。※ 畳やカーペットの上など、柔らかい場所でやると安心です。最初は加減しながら、慣れてきたら少しずつ力を入れてみてください。転んでも笑いながらできるのが、この遊びのいいところです。② グラグラケンパステッピング反応は、体が傾いたときにとっさに足を踏み出してバランスを取り戻す動きのことです。この反応は、体重が大きく揺れる経験を繰り返すことで育っていきます。そこでおすすめなのが、グラグラケンパです。やり方はこちら。床にテープや輪っかで印をつけて、グラグラしながら片足で立ち、そこからケンパ(両足ジャンプ)で着地する遊びです。ポイントは体重が足の外に大きく移動するような動きの中で、とっさに足を出して着地する感覚を繰り返し練習することです。最初はうまくできなくて当然です。フラフラして、ときには転びそうになって…その経験ひとつひとつが、体を守るための学習になっていきます。慣れてきたら、着地する場所を少しずつ遠くしてみるのもオススメです。「転ばないように」と手を引くだけじゃなくて、「転んでも自分を守れる体」を育てることも大切です。顔も、手首も、ちゃんと守れる転び方が身につくように。転びやすい子どもだからこそ、今日から少しずつ、一緒に取り組んでいきましょう。オンライン運動教室も活用しようここまで読んでくださったあなたは、きっとお子さんのことに、真剣に向き合っている親御さんだと思います。「うちの子、もしかしたら転びやすいに当てはまるかも」「転ぶとケガしやすいかも」 「楽しみながらトレーニングさせてあげたい」そう感じたら、まずきそスポの無料体験会に参加してみてください。きそスポの無料体験会でできることお子さんの視る力・運動能力の現状を確認できます実際のレッスンを体験し、お子さんの反応を見られます自宅・オンラインで完結するので、送迎不要・時間も選べます参加後の無理な勧誘は一切ありません「転び方」「転びにくい身体作り」の力は、何歳からでも育てられます。そして早く始めるほど、子どもの可能性はより大きく広がります。まずは一度、お子さんと一緒に体験してみませんか。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは▼こちらの記事もあわせてオススメ「ウチの子ども、転びやすい?」には理由があった。子どもの運動神経が気になる親は知っておきたい「外遊び」の重要性 個別と集団レーニング。子どもの運動教室、どちらが子どもの力を伸ばすか。オンライン運動教室は?子どもの感覚統合トレーニングには「遊び」が重要。楽しんで学べるレッスン例を解説参考文献・資料※1 神奈川県立体育センター研究報告書「子どもの体力及び運動能力の向上に関する研究」(2008年)、資料を読む※2 DelCastillo-Andrés Ó, et al. Children's Improvement of a Motor Response during Backward Falls through the Implementation of a Safe Fall Program. Int J Environ Res Public Health. 2018.論文をみる