「オンラインレッスンでこんなお子さんがいました。」最初に保護者様からいただいたご相談は、「うちの子、体育の時間が好きじゃないみたいなんです」「普通くらいには運動ができるようになって欲しくて」というものでした。詳しくお話を聞くと、体育の時間も苦手意識があり、走るのも嫌。ボール遊びもすぐに「もうやりたくない」と言ってしまうそうです。「体育が好きじゃない」お子様とのレッスンエピソード実際にレッスンを始めてみると、その子は“動くこと”自体が嫌いというより、「できない経験」が積み重なっているように感じました。例えば、かけっこの練習をしたときのことです。その日は、「地面を強く押す力」や「リズムよく動く感覚」を身につけるために、連続ジャンプの練習を行いました。「ピョンピョンピョンって、10回やってみよう!」そう声をかけると、その子は少し困った顔をして、「無理……」「できない……」と、小さな声で言いました。まだ始まってもいないのに、“できない前提”になっていたんです。実際にやってみると、1〜2回でバランスを崩して止めてしまいます。すると今度は、「ほら、やっぱりできない」そんな表情になってしまいました。でも、このまま「もっと頑張ろう!」 と言っても、苦手意識は強くなるだけかもしれません。そこで、その日は少しだけ声かけを変えてみました。「先生と10秒対決しようか!」 「どっちが多くジャンプできるかな?」“すると、不思議なことに表情が少し柔らかくなりました。最初は、10秒で5回。でも、「今の惜しかった!」 「さっきより増えたね!」 と声をかけながら続けると、少しずつリズムが良くなっていきました。次は20秒チャレンジ。途中で止まりそうになりながらも、最後までやり切ります。そして最後には、「見て! 30秒で20回できた!」 と、嬉しそうに教えてくれました。レッスン後、お母様からも、「家でも“もう1回やる!” って言ったんです。こんなの初めてで…」と嬉しそうにお話してくださいました。私はこの瞬間、改めて感じました。運動が好きな子と、苦手な子の差は、“才能だけ”ではないのかもしれない、と。もちろん、体の使い方には得意・不得意があります。でもそれ以上に、「できた!」 「前よりできた!」 という成功体験を積み重ねられるかどうかが、とても大きいように感じます。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは体育が好きな子、苦手な子実はこれ、研究でも似たようなことが言われています。子どもの運動に関する研究では、「自分はできる」という感覚(自己効力感・有能感)が高い子ほど、運動を楽しみやすいことが報告されています。例えば、ボール運動に関する研究では、「ボール操作が上手くなる」⇒「自分はできる」と感じる⇒運動が楽しくなる! という関連が示されている一方で、「ボール操作が上手くなる」⇒「自分ができる」と感じなかった⇒運動が楽しくなるに繋がらない! ことも示されています※¹。つまり、最初から運動能力が高いことよりも、「できた!」 「前よりできた!」 という成功体験の積み重ねが、“運動好き”につながる可能性があるんです。また、別の研究では、ゲーム形式や遊び要素を取り入れた運動は、子どもの「楽しい!」 という気持ちを高めやすいとも言われています※²。実際のレッスンでも、「練習しよう!」 より、「勝負しよう!」 「先生と対決!」 の方が、子どもたちの目がキラッと変わることがあります。子どもは、“頑張らされる運動”より、“楽しい運動”の方が自然と動けることが多いんですよね。体育の授業が好きになる! お家でのワンポイントアドバイスでは、おうちではどんなことをすればいいのでしょうか?まずは、「成功しやすい遊び」を取り入れてみてください。例えば、・クッションの上を落ちずに歩く・親子で片足立ち対決をする・新聞紙ボールでキャッチボールをするこんな簡単な遊びで十分です。ポイントは、「上手かどうか」ではなく、“できた経験を作ること”。そして、大人が一緒に遊び、その小さな変化を見つけてあげることです。「今、長く立てたね!」 「昨日より上手!」 「最後までやれたね!」そんな声かけが、子どもの「またやりたい!」 につながっていきます。体育の授業が好きな子は、最初から運動が得意だった子ではなく、“できた!” をたくさん経験してきた子なのかもしれませんね。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは参考文献・資料※1 Zhang T, et al. Does Perceived Competence Mediate between Ball Skills and Children’s Physical Activity and Enjoyment?. Children (Basel). 2021.論文をみる※2 Mo W, et al. Effects of game-based physical education program on enjoyment in children and adolescents: a systematic review and meta-analysis. BMC Public Health. 2024.論文をみる