最近、きそスポのオンラインレッスンでとても印象に残るお子さんに出会いました。画面越しに話してくださったのは、お母さま。「うちの子、とにかくよく転ぶんです」と、少し困ったような、不安そうな表情でした。なぜ、ウチの子はよく転ぶのか子どもがよく転ぶのは、ある意味では自然なこと。体の使い方をまだ学んでいる途中ですし、「転ぶ=元気に動いている証拠」という面もあります。でも、お話を聞いていくうちに、「あ、これはちょっと気になるな」と感じるポイントがありました。公園の遊具に連れていっても、登り坂のある傾斜のところだけ、どうしても登れないというのです。他のお子さんがすいすい登っていくなかで、足を踏み出そうとしても、体がうまくついてこない。そのたびに立ち止まってしまう、と。転びやすいこと。傾斜が登れないこと。別の話に見えますが、わたしにはすぐにピンときました。それらの現象の根っこはじつは同じで、足首まわりの感覚やバランスが弱いのかも……?「よく転ぶ子」になってしまう理由。外遊びや運動の経験の少なさがその要因だった実はこのこと、研究でも裏付けられています。日本学術会議の提言(2017年)では、転んでも手をつけない・両足でうまく着地できない子どもが増えており、1985年と2007年の幼児を比較すると、走る・跳ぶといった基本的な運動能力に明らかな低下が見られると報告されています※¹。また、神奈川県立体育センターの研究報告書(2008年)には、外遊びや運動の経験が少ない子どもは「転び方を知らずに大きくなる」「顔面の擦り傷や切り傷、 また手首の骨折が多くなってきている」と指摘されており※²、日常的な外遊びや運動経験の積み重ねが、いかに大切かがわかります。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは「転びやすい子ども」は足首の使い方がかたいポイントは、「足首の使い方」と「足裏の感覚」です。傾斜を登るとき、人間の体は自然と足首を前に倒しながら、ふくらはぎとお腹の筋肉を連動させてバランスをとっています。このとき、足裏全体で地面をとらえる感覚がとても大切になります。ところが、足首がかたかったり、足裏の感覚が育ちきっていないお子さんは、傾斜に対して体をうまく「合わせる」ことができません。足が地面をとらえられないから、体が不安定になる。それが平坦な場所でも起きると、ちょっとしたでこぼこや段差でつまずきやすくなる——つまり「よく転ぶ」につながっていくんです。これも研究が示しています。2025年に発表された研究では、学齢期の子どもを対象に、足首の固有感覚や自分の体の位置を感じとる力が弱いほど、バランスを保つ能力も低くなることが確認されています※³。また、足裏の感覚と立位バランスには密接な関係があり、足裏の感覚低下が起こるとバランスを保つ力が低下すると報告されています※⁴。「運動神経が悪いのかな」「うちの子だけ?」と心配されるご家庭もありますが、これは才能や運動センスの話ではありません。足裏と足首の経験値が、まだ積み上がっていないだけ。だとしたら、経験を積めばいい。それだけの話です。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは子どもの運動神経を成長させる。お家でできるワンポイントレッスンでは、おうちで今日からできることを一つだけ。「裸足で、ちょっとデコボコした場所を歩く」、これだけで十分です。たとえば、丸めたタオルを床に置いて、その上をゆっくり歩いてみる。クッションの上に立って、バランスをとってみる。お風呂のバスマットの上で、つま先立ちをしてみる。特別な道具は何もいりません。足裏が「あ、ここ地面が変わった」と感じるたびに、体は無意識にバランスを調整しようとします。この小さな経験の積み重ねが、足首を動かす力を育て、体幹との連携を育てていくんです。ゲーム感覚で「ぐらぐらゾーンを渡れるかな?」と声をかけてあげると、お子さんも楽しみながら取り組んでくれますよ。特に幼児期は、バランス能力が上がりやすい時期のため、しっかりと取り組んであげてくださいね。「転びやすい」には、ちゃんと理由があります。そして、理由がわかれば、アプローチもできる。「できない」が「できた!」に変わる瞬間は、いつもそういう小さなところから始まっています。今日も読んでくださってありがとうございます。「うちの子もこんな感じかも」と思われた方は、ぜひ一度、裸足タイムを試してみてくださいね。運動が苦手な子どものためのオンライン運動指導教室「きそスポ」とは参考文献・資料※1 日本学術会議「子どもの動きの健全な育成をめざして」健康・生活科学委員会(2017年)、資料を読む※2 神奈川県立体育センター研究報告書「子どもの体力及び運動能力の向上に関する研究」(2008年)、資料を読む※3 Iannotta A, et al. Proprioceptive and visual motion detection acuity contribute to children’s dynamic postural control. Scientific Reports. 2025,15,41090. 論文をみる※4 森岡周ほか「年代別にみた立位姿勢バランス能力と足底二点識別覚の変化過程」理学療法ジャーナル 39巻10号(2005年)、論文を読む